【花粉まとめ2025】西日本で花粉が大量飛散、寒波の影響で短期集中型に

2025/06/26 03:00 ウェザーニュース
ウェザーニュースで分析した、2025年春の花粉の飛散と花粉症の症状のまとめをお伝えします。
ポイント
・飛散量:西日本で大量飛散、東日本と北日本は昨年・平年を下回る
・飛散時期:寒波の影響で飛散開始が遅れ、短期集中の大量飛散に
・花粉症の症状:2月下旬から「つらい」症状報告が急増、4月上旬まで継続
飛散量:西日本で大量飛散、東日本と北日本は昨年・平年を下回る

ウェザーニューズ独自の花粉観測機「ポールンロボ」が観測した2025年春の花粉飛散量は、全国平均で昨年比115%、平年(※1)比113%となり、飛散量は昨年・平年並となりました。
ただ、飛散量の傾向はエリアによって差が大きくなっています。西日本では飛散量が昨年・平年を大きく上回り、九州では過去10年で最も多い飛散となりました。一方、東日本や北日本では昨年・平年ともに飛散量を大きく下回りました。
(※1)花粉飛散の平年:過去10年間(2015~2024年)の平均
飛散量を左右した要因は?
花粉の飛散量は、花粉をつくる雄花の生長と飛散時期の天候に左右されます。雄花の生長は主に前年の夏の気温や日照時間、年ごとの花粉の増減傾向(飛散量が多い年と少ない年が交互に訪れる傾向)に影響を受けます。
昨年の夏は、北日本の日本海側では日照時間が平年をやや下回り、雄花の成長にやや不向きな天候でした。また、昨年春の花粉の飛散量が平年並みから多い傾向だったことから、今年の飛散量は昨年・平年を大きく下回ったと考えられます。
東日本は昨年の夏は平年より日照時間が多く、気温も高くなったことで雄花の成長に適した天候だったものの、飛散量の周期的な変化の結果、昨年・平年を下回ったところが多くなったとみられます。
一方、西日本は昨年の夏の気象条件が整っていたこと、加えて昨年の飛散量が少なかった反動とが重なり、昨年比・平年比ともに多くなりました。
飛散時期:寒波の影響で飛散開始が遅れ、短期集中の大量飛散に
2025年春の花粉飛散の特徴は、2月の寒波の影響により飛散開始や本格飛散の時期が平年よりも遅れたことと、西日本を中心に本格飛散の期間が平年より短くなったことです。

飛散開始や本格飛散の時期にかなりの遅れ
1月下旬は日本列島が暖かい空気に覆われました。西日本と東日本で平年より気温が高くなり、福岡県や三重県、静岡県で平年より10日以上早くスギ花粉の飛散が開始しました。
ただ、2月に入ると断続的に強い寒波に見舞われ、西日本と東日本の花粉の飛散は一転して低調となりました。
2月中旬から3月上旬にかけて気温が上がったタイミングで、西日本で平均5日、東日本で平均3日、北日本で平均1日遅く飛散を開始しました。
飛散開始が遅れたため、本格飛散も平年に比べて西日本で平均8日、東日本で平均5日遅くなりました。北日本はおおむね平年並みでした。

西日本では短期集中型の本格飛散
飛散開始が遅れた影響により、本格飛散終了のタイミングも西日本では平均4日、東日本で平均2日遅くなりました。
本格飛散の期間は、大量飛散となった西日本で平年より平均5日短くなり、短期集中型の飛散になりました。
東日本は平年より平均3日短くなりました。北日本は平年とほぼ同じ期間でした。
花粉症の症状:2月下旬から「つらい」症状報告が急増、4月上旬まで継続

花粉症の症状のつらさはどうだったのか、スマホアプリ「ウェザーニュース」のユーザーから寄せられた症状報告を分析しました(※2)。
その結果、花粉症の症状が「つらい」と感じた方の割合は全回答数の30%となり、昨年の27%よりも3ポイント増加しました。
地域別の結果を昨年と比較すると、九州、中国・四国、近畿、北陸・長野で昨年より「つらい」と感じる人が増加しました。
特に大量飛散となった西日本で大幅に増えました。花粉の飛散量が平年・昨年を上回り、花粉症の症状を強く感じた方が多かったのではないかと考えられます。
一方、花粉の飛散量が昨年・平年ともに大きく下回った北海道と東北北部では、つらい割合が5ポイント以上減少しました。
関東・山梨と東海、東北南部は花粉の飛散量が昨年・平年ともに下回ったところもありましたが、つらい割合に大きな減少は見られませんでした。
(※2)症状がつらい人の割合:スマホアプリ「ウェザーニュース」の『花粉飛散情報』に2025年2月1日〜5月31日に花粉症のユーザーから寄せられた症状報告(のべ127,282通)のうち、“非常につらい”“つらい”の回答を合計し、割合で表示。

昨年との症状報告の変化
今年と昨年の症状報告の変化を比較すると、3つの特徴がありました。
1つ目は、2月下旬に「つらい」と感じる症状の報告が急増したこと。
2つ目は、3月中に2度のピークがあり、症状の強さに波があったこと。
3つ目は、4月上旬までつらい症状が続いたことです。
全体を通してみると、つらい症状報告が増えるタイミングがやや遅れ、症状が落ち着くタイミングも先送りになったことがわかります。
なお、2026年春の花粉飛散傾向は10月頃に発表予定です。